N E W S


ISSUE 2



NEWS ISSUE 2
企画情報
 
『講演会2003』
 2003年2月1日、武道文化フォーラムの第二回目のイベントとして『講演会2003』が開催された。第二回目となる『講演会2003』は、千葉県勝浦市にある国際武道大学との共同開催となり、同学内において企画されたプロジェクト『21世紀の武道と研究の課題』のメンバーから3名の講師が参加して行われた。
 

(講演会プログラム)


日時:2003年2月1日(土)
会場:アーラムイガズガターシ大学講堂
テーマ:『武道研究の視点』


10 : 00 - 10 : 30
開会
10 : 30 - 11 : 45
大道等(国際武道大学教授) 『日本における武道科学とその近代史』
12 : 00 - 13 : 15
魚住孝至(国際武道大学教授) 『宮本武蔵、その生涯と思想』 
13 : 30 - 14 : 45
大矢稔(国際武道大学教授) 『武道の技法と心法』―剣道の場合―
14 : 45 - 15 : 00
閉会


(開催趣旨)

 欧州において武道研究というと、一般的には身体を鍛え、技術を発展させる実践的な活動ばかりが想像されがちである。しかし、武道技術の背後にある歴史や思想、あるいは様々な理論を研究対象として、その内容を正確に把握することは武道の技術発展にとって非常に大切な要素となる。しかし、残念なことに欧州では、そういった視点に立って武道の研究をする環境が整っておらず、愛好者の多くにも、未だ武道研究の意味が正確に理解されていない。今回の講演会では、3名の講師が視点の異なるそれぞれの立場から、武道研究の幅の広さや面白さを紹介し、真の意味で武道文化が欧州に定着するための基礎情報を提供する。


(講演要約)

1. 大道等『日本における武道科学とその近代史』
  oomichi

(1) 身体運動の研究における重心に関する解説

歩、走、階段歩行、ダンス、空手のキックといった身体運動について、重心に注目した解析的・概括的所見から、動きが異なる局面、すなわち、感情的制御、スキル学習、精力的身体訓練、芸術的美学を解析的に論じる。
   
(2) 明治期の日本武道における医科学的に批評の考察

東京大学の医学部では、医科学を教えるために招かれたヨーロッパの教授陣から、学校教育においてどのように武道を促進させるのか助言を受けるよう指示し、1883年、剣道と柔道が生徒の健康のために良いものではないことを示唆した。しかし、彼らによって示されたそのような書類は見つかっていない。ヨーロッパの教授陣によって書かれた、たいていの歴史的事象に関する論文は、彼らが日本を愛し日本の武道をさらに促進しようとしたものであった。そして明治期における日本武道の医科学は、歴史的見地から再検討されなければならない。


2. 魚住孝至 『宮本武蔵、その生涯と思想』
  uozumi

  宮本武蔵(1582〜1645)は、小説などで有名であるが、本当の姿はほとんど知られていない。『五輪書』は英訳もいろいろあるが、内容が正確に読まれているとは言い難い。最近学術書を著わしたが、それに基づいて発表する。
   
  一流の武芸者であった養父に育てられた武蔵は、23歳の時名門吉岡一門に勝ち、『兵道鏡』を著わし「天下一」を称し、自らの流を樹立している。最後の勝負と言われるのが巌流島での小次郎との勝負であるが、よく知られている内容はフィクションである。60余度の勝負に一度も負けず実戦勝負を終えたが、「兵法至極して勝つにはあらず」と振り返り、30代から「なおも深き道理」を追求し続けた。大名の客分という自由な身分で、水墨画など諸芸にも学びながら、50歳の頃、道に達したという。死の直前まで完成に心血を注いだ『五輪書』は、長年の経験から得たものを、自らの確かな言葉で書いているので、一文一文、体で確かめ丁寧に読んでいかなければならない。


3. 大矢稔 『武道の技法と心法』
  ooya

  ―剣道の場合―
   
   現代剣道の起源は剣による切り合いであり、これは「日本剣道形」に擬似化されている。九歩の間合いで構え、相手に接近して切り合ったとされる真実は、竹刀打ちの剣術が修錬されるようになると、「触刃の間合」から「交刃の間合」まで攻め込んで技を遣うという考え方に練り上げられ、一般化し定着するようになった。現代剣道では、"切るか切られるか"という切羽詰まった極限状態における生死の課題を想定し、どのようにして安定した心理状態を持続して、攻め合いの中から瞬間瞬間に正確な技を発動するかが課題となる。すなわち、技の練磨と心の修養との相即によって、自己の生き方や在り方を追求してゆくところに現代剣道の特徴がある。


(講演会の様子)

今回の講演は、それぞれが講師が持ち時間の75分で行われた。講演は日本語、もしくは英語で行われ、それぞれの講師にハンガリー語の通訳が付いた。当日、会場には100名を越える聴衆が集まったが、昨年同様、ほぼ全部の聴衆が最初から最後まで講演に聞き入っていた。会場に集まった聴衆の真剣さが良く表れていた。

聴衆の多くは実際に武道を稽古している人々であったが、それ以外にも日本文化やスポーツの研究に興味抱いて会場に足を運んだ人々もいた。武道関係者では、空手、合気道の愛好者が多く、ついで柔道、剣道関係者が目立っっていた。

 

 
   
事務所便り
 

[ 事務局長の交代について]
武道文化フォーラム設立期より事務局長を務めていたKrisztian Berg氏が辞任し、代わって2002年4月よりOrsolya Vargaさんが事務局長に就任しました。

[ 書籍の寄贈 ]
欧州事務局では、欧州会員のために武道・日本の伝統文化に関する書籍の寄贈を募集しています。寄贈可能な書籍を有する方は、送費ほか詳細について連絡をお願いしたいため、欧州もしくは日本事務局の方までご連絡ください。

[ 機関紙の販売 ]
2002年2月に開催された講演会の内容をまとめた機関紙第一号を販売しております。ご希望の方は、日本事務局までお問い合わせください。
budo kultura